【3分でわかるIT業界の構造】自社開発・受託開発・SESとは何か

IT業種 未経験転職
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IT業界の構造は戦場を知ること

IT業界の構造について見ていきましょう。

未経験エンジニア転職を目指すなら確実に理解しておかないと死にます。水着と浮き輪を持って戦場にいくようなものです。

構造とは「多くの場合そういう状態にならざるを得ない環境がある」ということです。

もちろん、今回のケースに該当しない企業もたくさんあります。「構造から外れた選択ができる企業」にはそれなりの理由があります

そうした企業が見つけられるようになるためにも、基本的なIT業界の構造を確実に押さえていきましょう!

IT業界の3形態

IT業界(webアプリ開発)は大きく3つの企業形態があります。

まずは、結論を表で示しておきます。

受託開発

SES

自社開発

特徴

要件定義が価値

技術力が価値

問題提案力が価値

メリット

開発に携われる安定した経営

あらゆるサービスに関われる

最新技術を使用
工夫の余地が多い

デメリット

多重請負構造
使用技術が古い

多重請負構造
案件ガチャ

サービスが成長しないと終了

就職難易度

それでは一つずつ見ていきましょう!

受託開発企業

他企業の要望をシステムにする企業です。こんなサービスをつくりたいけど、自社で開発をする力がない」そんな企業の思いを形にするのが仕事です。Sier(エスアイアー:System Integratorの略)とも言われます。

特徴

システムエンジニア、プログラマーの役割分担で仕事をするのが受託開発です。

受託開発の世界で、一番価値のある人材は「他企業の要望を聞き取って形にできるか考えること」です。

この仕事をするのがシステムエンジニアです。要件定義・基本設計と言われる工程です。

実際にコードを書くのはプログラマーの仕事です。年齢を重ねたとき、コードを書く力が高くても評価されなくなります。

「お客さんの潜在的な課題まで引き出してシステムに落とし込む力、わかりやすくIT技術を伝えられる力」が受託開発で一番求められるスキルだからです。

稼ぐ力

仕事を請負って納品する性質上、売上が急拡大することはありません。

人が増えて、仕事の依頼が増えれば、その分売上が増える比例のイメージです。その分、発注企業から信頼が積めれば、確実に成長していきます。

多重請負構造

業界全体が多重請負構造になっています。つまり元請けの大企業が、下請けの会社に仕事を発注する。下請けの会社がさらに下請けに出す。

その結果、中間の企業がマージンをとり、発注先は高い価格で、下請け業者は安い賃金と納期に追われる構造になっています。

下請けはお客さんから直接話を聞けないため、トンチンカンな商品が出来上がる可能性も高くなります。

IT土方という言葉はこの構造を表現した言葉です。建設業界と同じ構造がIT業界にも起きています

使用技術

使用技術は古いことが多いです。納期が契約で厳格に定まっているため、効率的な作成より、確実に作りきることが優先されます。

そのため、既存の技術を利用して作成する可能性が上がります。

このように、新しい技術を取り入れるリスクは取らないほうが、会社にとって意味があります。

また、納品すれば契約終了になります。自分たちが今後も使い続けるサービスではないため、最新技術より既存の安定技術が使われます。

就職難易度

中程度です。受託開発ができる企業はあるレベル以上の技術力が求められます。納期までに納品できなければ損害になるからです。

その結果、ある程度の組織規模になっています。教育体制が整っているので、自社開発企業に比べると即戦力である必要性が下がります。

 

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自社開発企業

自分の会社のサービスを開発する企業です。LINESocialDogが例になります。

特徴

自ら問題をつくって解決する能力が求められます。まだ、消費者が気づいていない問題を、仮設をたてて検証・解決していきます。

受託開発との一番の違いは「自ら問題をつくる」ことです。受託開発はある程度問題を抱えている人に、解決策を提案します。

一方で、自社開発は「こんなことを悩んでいる人いる。そのためにはこうしたらいいんじゃないか」と仮設検証を繰り返して形にしていきます。

同じサービスを一定期間つくることになるので、サービス自体に思い入れや興味がない方には向いていません。

稼ぐ力

サービスが大きくなる可能性を秘めています。FaceBookをイメージしてもらえばわかりやすいですね。

サービスが当たると一気に高収入になります。一方で限られた期間で結果を出さないと会社が終わります。

投資家が出資するIT企業は自社開発企業になります。請け負う形態の企業ではサービスが急成長することがないからです。

使用技術

新しい傾向があります。自社でサービス開発を続ける以上、最新の技術選択をしたほうが効果的だからです。

最新の技術選択をしていたほうが、技術力の高いエンジニアが転職してきます。企業は採用の面からも最新技術を選択します。

一方で、サービスが大きくなっている企業の技術は昔の技術だったり、保守が多かったりする可能性があります。

最新技術で新規開発がしたいと考えていると、想像と違う可能性があるので、注意が必要です。

就職難易度

高いです。スタートアップ企業が多く、結果を出さないと潰れてしまいます。その結果、即戦力が求められます。

人数も少ないため、教育体制は整っていない事が多く、自発的に行動し続けなければいけません。

「即戦力かつ自発的に行動できる人」という条件になるので、未経験からの転職難易度はかなり高いです。

SES

受託開発や自社開発企業にエンジニアを派遣して対価をもらう企業です。SESはシステムエンジニアリングサービスの略です。派遣契約との違いは「指揮命令系統がSES企業にあること」です。

特徴

様々なサービスに関わることができるため、特定のサービスより技術に興味がある人に向いています。

フリーランスの働き方と一番近いのもSESになります。現場を渡り歩くという点は全く同じです。

違いはフリーランスが案件を自分または、仲介サービスに依存するのに対して、SES企業は自社の営業が案件を獲得してエンジニアが参画するところです。

エンジニアを派遣すれば、売上が上がるため、エンジニアの成長を考えない経営者の場合、雑用を強いられる可能性があるので注意が必要です。

実際、テックキャンプ同期が内定した企業は「家電量販店の営業からスタートだがいいか」と聞かれたそうです。

稼ぐ力

人を派遣した対価として報酬をもらうシステムなので、サービスが急拡大する可能性はありません。そのため、急激に対価が増えることはありません。

派遣したタイミングで金額が決まるので、そこで成果を出す・出さないは給料とは無関係になります。

もちろん技術力が高く・派遣の金額が高くなれば給料は上がりますが、その状態ならフリーランスになったほうがマージンをとられなくていいかもしれません。

多重請負構造

SESの世界も多重請負構造になっています。受託開発企業が仕事を下請けに発注するのに対して、SES企業は人材の情報を下請けに出します。

5人の派遣・単価100万円の依頼があった場合、4人を自社企業から派遣し、派遣できない1人分は提携企業に情報を流します。

このとき単価90万円にすることで、下請け企業が契約した場合、SES企業に10万円入る仕組みになっています。

使用技術

働く現場に左右されます。案件ガチャの言葉があるように、案件に当たり外れがあります。

「経営者や営業が利益よりエンジニアのことを考えていること」が使用技術や環境に大きく影響します。

就職難易度

低いです。人を派遣した対価として報酬をもらうので、必ずしも技術力が高い必要はないからです。「技術力が低くても派遣さえしてしまえばお金になる」と考える企業もあります。

その結果、「未経験大歓迎」と甘い言葉を使って誘惑するわけです。甘い言葉には裏があります。SES企業を選ぶときには厳しい選考基準の企業の方がいいわけです。

 

このあたりの事情をもっと詳しく知りたい方は21世紀最強の職業Webエンジニアになろう」がおすすめです。


この本を読まずして未経験エンジニア転職を目指すのは危険です。業界構造から各エンジニアの特徴、エンジニアのなり方まで書かれています。業界の仕組みが詳しく書かれていますが、Web系エンジニアのバイアスが少なからずあると頭の隅においた方が中立に読めると思います。

未経験はどこがいいのか

ここまで聞いてどの企業に入りたいと思ったでしょうか。99%の人は自社開発企業ではないでしょうか。しかし、あえて言い切りましょう。

「未経験者は、受託開発企業を目指すがベスト」だと。その理由は別の記事で詳しく書きたいと思います。

まずはIT業界の全体像を把握して、進むべき方向性を決める手助けになれば嬉しいです。

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