業界を知ると学習法が決まる
今回は「web制作とwebアプリ制作の違いを踏まえて、どんな人がどちらを目指すべきか」までをお話します。
私も最初はよくわからず、ガムシャラに作業していました。目指す目的が決まっていないと、いくら作業してもゴールまでたどり着きません。
業界構造を理解することで、自分の取る言語選択や学習法が見えてきます。それでは見ていきましょう!
Web制作とWebアプリの違い
エンジニアには大きく2つの業界があります。web制作とアプリ制作です。まずは、結論を表で示しておきます。その後詳しく解説します。
Web制作 |
Webアプリ |
|
使用技術 |
簡単 HHTML、CSS、JavaScript、JQuery、WordPress |
難しい フロントエンド:React、Vue.js |
単価 |
低い |
高い |
人材価値 |
低い |
高い |
働き方 |
一人でも可能 |
チーム開発が多い |
向いている人 |
すぐに稼ぎたい |
問題解決を仕組みで行いたい |
web制作とは、企業のホームページやランディングページをつくることです。ランディングページとは、検索や広告をクリックした時に、消費者が一番最初に訪れるページのことです。
Webアプリ制作は、ログイン・画像の保存などの目に見えない処理が裏側で行われているものです。ツイッターやAmazonがこれに当たります。
この2つの業界は、使用技術・単価・人材価値・働き方が全く異なります。
「どちらがいいかでなく、自分の目指したい生き方に合う手法はどちらか」という視点が大事です。
この選択を間違えると大きく時間を無駄にします。転職後、自分の求めるものと違う技術しか身につかないこともあります。
プログラミングを始めるときに必ず抑えておきたいことの一つです。
web制作とwebアプリの違いを使用技術・単価・人材価値・働き方の点から比較していきます。
web制作
使用技術
HTML、CSS、JavaScript、jquery、WordPressを使います。画面の見た目を整えて動きをつけることが主な仕事になります。ブログの作成はWordPressを使います。
比較的習得が簡単なため「プログラミングを始めて3ヶ月で20万円稼ぎました」という人は100%web制作です。即効性が高いため、今すぐ稼ぎたい人に向いています。
単価
低い傾向があります。学習コストが低く、新規参入者が多くなるため、単価は下がり価格競争になりやすい性質があります。技術力でガッツリと稼ぎたい人には向いていません
人材価値
人材価値は低い傾向があります。やることが一定作業の繰り返しが多く、新たな機能や仕組みをつくることが少ないからです。
「新しいもの」ではなく、「いかに早く案件をこなせるか」が重要になります。ノーコードに代替されていくのも、簡単なweb制作からになるかもしれません。
実際、STUDIOなどのノーコードサービスは拡大してます。自分の価値をどう作っていくか「営業なのか、デザインなのか、お客さんの満足を見つける力なのか」その思考がないと、確実に低単価の仕事しか受けられなくなっていきます。
働き方
一人で完結できるため「旅しながら働きたい人」に向いています。もちろん企業に所属して開発する選択肢もあります。
個人的には「一人で働けるweb制作の利点がなくなるので、企業に所属する必要はないかな」と思います。「副業で月3万円の収入を得たい人」には最も魅力的な選択肢です。
Web制作に向いている人
■目的
副業、自由度の高い働き方がしたい、すぐに稼ぎたい
■趣向
ロジックよりデザインが好き、自分を売るのが得意、同じものを効率的につくることが得意
webアプリ制作
使用技術
Ruby、Python、PHP、Java、GO、React、view.jsがあります。フロントエンド・バックエンドエンジニアで学習する言語が変わってきますが、混乱するため、今回はひとまとめにしておきます。
プログラミング言語に加えて、データベース・インターネット基礎知識・クラウド・バージョン管理など学ぶことが盛りだくさんです。
単価
高い傾向があります。学習コストが高く「新しいものをどうやって形にするか」を考える必要があるため、できる人材が限られ、単価は上がります。
人材価値
学習コストが高くできる人材が限られるため、人材価値は高い傾向があります。しかし、注意も必要です。人材価値の高い人材になるには「1~3年の実務経験が必須」になります。
IT人材は不足しているのに未経験者が転職できない理由がここにあります。
「IT人材が不足しているからプログラミングスクール通えば転職できる」というスクールの甘い言葉を鵜呑みにすると危険です。
企業の求めるレベルと転職者のレベルのミスマッチが起きているからです。IT人材は不足していても未経験者は求められていないが現実です。
未経験者を採用しないのにも理由があります。1~3年経つと年収に対して人材価値が圧倒的に上回ります。年収に見合わないと思ったエンジニアは転職します。
企業から見ると育成コストを回収する前に転職されることになるので、「未経験ではなく即戦力を雇おう」となり、未経験者が転職にしくい構造になっています。
働き方
チームに所属して開発することになります。企業に所属・フリーランスを問わず、何らかの案件に参加します。
リモート勤務もありますが、一人で完結できるweb制作に比べると自由度は下がります。もちろん他業種に比べれば圧倒的に自由です。
向いている人
■目的
高単価で稼ぎたい、時間をかけても人材価値を高めたい
■趣向
ロジックが好き、プログラミング以外のIT全般も好き、新しいことを形にすることが得意、粘り強い
それでも迷う人へ
ここまで見ていただいた方はお気づきだと思います。「どっちの業界がいいか?ではなく、自分がどう生きたいか?」が決まっていないと選択できないですよね。
「海外で旅しながら働きたい」と思っている人が、チーム開発に参画するWebアプリ業界に入っても、時差や打ち合わせの頻度が高いため、難しくなるわけです。
「それでも決めきれないよ。タックさん助けて」という人には「Webアプリ業界」をおすすめします。
Webアプリを目指しておけば、Web制作に変更することもできるからです。この逆は技術的な差がありすぎて難しいです。弁護士を目指しておけば、公務員や司法書士になる道に方向修正できるみたいなものですね。
当時の私は決めきれなかったので、短期間で両方試して自分の好きな道を選択しました。
今回は、web制作とwebアプリの違いをお話しました。
プログラミングにある程度触れたタイミングで、「自分は何がしたいのか、どう生きたいのか」を明確にしておくと、web制作かwebアプリか迷うことが少なくなります。
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